事業所を移転する際にはデスクやイス、パソコンやプリンターなどのOA機器、書類や文書などさまざまなゴミが出ます。
これらの事業系のゴミは事業者の責任で適切な処理をする必要があります。
オフィスから出る大量のゴミをそれぞれどのように処分したら良いのか、それぞれに異なる処分方法を解説します。
目次
事務所内の大物の片付け
事務所の大物を処分するときの手順や注意しなければいけない点などを詳しく紹介しています。
事業用粗大ごみの正しい処分方法を勉強してください。
◇デスクやイスを処分
オフィスの移転することで不要になった古いデスクやイスなど、事業所から出たゴミは事業者が責任を持って処分することが義務付けられています。オフィスで使われているデスクやイスは金属が使われている部分が多いため、産業廃棄物の範疇に含まれる金属くずとして扱われます。
そのため、粗大ゴミとしてではなく、産業廃棄物として処分をしなければなりません。
産業廃棄物を処分する際には、廃棄物処理業の許可を受けている業者に依頼して処分を行わなければいけません。
最近はテレビなどでも報道されていて、産業廃棄物の不法投棄などが社会問題になっているので、正規の民間業者を選んで処分を依頼することが大切です。
産業廃棄物を処分する際には、委託契約を結ぶことや処理伝票を発行したり照合したりする事務手続きが必要となります。
最終的には杭へ処分したことの詳細の報告をしなければいけません。
もし、状態が良いもので廃棄するにはもったいないくらいのであれば、リサイクル業者や廃品回収業者を利用することも検討してみましょう。
廃棄するのではなく、買取や引き取ってもらう形で処分することになれば、産業廃棄物として処理するための委託契約や書類手続きなどは必要ありません。
◇事務所のOA機器を処分する
事務所のパソコンやプリンターなどのOA機器を処分したい場合も産業廃棄物処理業者に依頼することが必要になります。
業者に直接持ち込みすることもできますし、回収を依頼して取りに来てもらうこともできます。
パソコン類は古い機種でも基盤などの材料にレアメタルが使われていることが多いため、回収に積極的な業者が多いです。
ただ、パソコンの場合は企業で使っていた時の機密情報が含まれているため、処分を依頼する際にはセキュリティ面が心配です。
しかし、産業廃棄物処理業者や不用品回収業者であればハードディスクの取り外しと物理的破壊も同時に行ってくれることが多いため、安心して引き渡すことができます。
ただし、自分たちでハードディスクのデータの破棄は行っておいた方が無難です。
処分したいOA機器が大量にある場合やコピー機などの大型機器である場合は、回収に応じてくれる業者もたくさんあります。
全ての業者がOA機器や回収サービスに対応しているわけではないので、回収可能かどうかを電話で問い合わせてから依頼するようにしましょう。
◇文書や書類を処分
事務所での事業活動によって出た不要な文書や書類は「事業系一般廃棄物」になります。そのため、たとえ紙類であっても家庭ゴミなどと同じ処分方法ではいけません。
事業系一般廃棄物の処分をするには、面倒ですが産業廃棄物処理業者や不用品回収業者などの専門業者に委託して引き取りしてもらう必要があります。
事業所から出た文書や書類には機密情報が多く含まれているため、機密情報の漏洩を防ぐために焼却処分または溶解処分が行われます。
いずれの方法でも文字情報が残ることがないため、安全な処分が可能です。
事業所から出る廃棄物は大きく分けて、デスクやイスなどのオフィス家具、OA機器、文書や書類の3種類になると思いますが、産業廃棄物処理業者では業者によって扱う品目が異なる場合もあります。
その場合は、別々の業者への依頼が必要になることも考えておかなければいけません。しかし、廃品回収業者であれば、基本的には種類や量や大きさに関係なくどんなものでも回収してくれるので、一括依頼が可能です。
機密情報の漏洩を防ぐために必要なパソコンのハードディスクの取り外しや破壊、文書の焼却や溶解に関しても、経験と知識が豊富なスタッフがいる廃品回収業者であれば問題なく処分することが可能です。
事務所の不用品はどこに依頼するの?
事務所を閉鎖したり会社が倒産したりした時に出てくるデスクやいす、そして電子機器などはどのようにして処分すればいいのでしょうか。
粗大ごみとして出すのか、買い取りをしてくれる業者があるのかなどどこに依頼すれば一番効率的に処分できるのかが知りたい人には必見の情報です。
企業から出る粗大ごみの処分先と処分方法について詳しく紹介します。
◇地方自治体
オフィスや店舗などの事業所などで発生した粗大ごみの場合はどのようにしたらよいでしょうか? 家庭から出た粗大ごみと同じように処分することができるのでしょうか?
答えはノーです。
自治体によっては、一部の事業所から出される特定のごみについてのみ受け入れているケースもあります。
しかし、一般的に企業は「事業所から出た粗大ごみは一般家庭と同じ扱いで集積所へ出したり、ゴミ処理施設へ持ち込んだりはできない」というのが原則となっています。
そのため、あらゆる事業活動によって出た粗大ごみは、事業者の責任によって処分しなくてはいけないのです。
◇廃品回収業者
事業所から出るゴミは事業者が責任を持って処分することが義務付けられています。
事務所から出るゴミは事業系一般廃棄物から産業廃棄物まで幅広く、それぞれの品目を別々に処分しようとすると、扱う業者も異なるため手続きも煩雑です。
廃品回収業者を利用すれば、さまざまなゴミを一括回収して適切な処理をしてもらうよう依頼できるため、オフィスや工場の移転、オフィス家具・什器・機器の買い替えなどを予定していて処分に困っているようであれば、まずは電話で問い合わせをしてみましょう。
◇リサイクルショップ
企業から出されるデスクやイス、さらにはFAXやコピー機などは、リサイクルセンターで買い取ってくれるのでしょうか。
企業向けのデスクやイス、そして電子機器などは需要が高くすぐ売れるので、喜んで買い取ってくれます。
企業専門のリサイクルショップがあるくらいなので人気の商品であることは間違いありません。
まだ使える物であれば、すぐにでも買い手がつくので、粗大ゴミとして捨てる前にリサイクルショップに相談することをお勧めします。
注意すべき廃品回収業者
不用品の回収依頼に関しては、最初の見積もり段階でかなり強引に高額な見積もりを出し、急いで契約を結ぼうとする回収業者もいます。
こうした業者に対しては依頼する価値なので、毅然とした態度できっぱり断るべきであることを心しておきましょう。
廃品回収業者を選ぶ時は、しっかりとした公式ホームページを用意していて、企業理念や取り扱い品目、料金体系などを明確に提示しているところ、そして、一番大事なのが見積もり後には追加の費用請求はしないことを明言している業者だという事です。
まだ十分に使えそうな品がある場合は、処分や回収だけでなく、買い取りサービスも一括で行っているかどうかも事前にチェックしておく必要があります。
オフィスの中には、リサイクル家電でエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の4品目がたくさんあったり、通常の行政回収では対応できない業務用機器などを処分しなければならない場合もあります。
4品目をどのように処分すべきかを依頼前に検討し、見積もり時に漏れがないように注意して、オフィス移転をすっきりスムーズに進められるようにしましょう。
企業の粗大ゴミの処分の手順
企業の粗大ゴミは一般家庭とは違い企業の粗大ごみの処分方法が決められています。
決められた企業の粗大ごみの処分手順を詳しく紹介します。
◇法人・個人事業主の粗大ゴミは産業廃棄物
通常、事業所や商店などから出るごみは、すべて産業廃棄物となります。
これらのごみの処分を廃品回収業者へ依頼する場合には、取り扱う産業廃棄物が正しく処理されていることを記載するマニフェスト産業廃棄物管理票を交付しなければいけません。
このマニフェスト制度に違反すると、法的処分として6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。
マニフェスト制度は、報道でもされている社会問題・環境問題となっている不法投棄を未然に防ぐための対策です。
排出事業者が産業廃棄物を処理するときに、マニフェストに産業廃棄物の内容、数、運搬業者名、処分業者名などを記入し、業者から業者へマニフェストを渡すことでごみ処理の流れを確認できます。
基本的に、企業の粗大ごみや産業廃棄物を処理するときには、必ずマニフェストで管理することが決められているのです。
産業廃棄物とは、事業活動で発生したごみのうち、次のような廃棄物のことを言います。
燃えがら、汚泥、廃油、廃アルカリ、廃プラスチック類など約20種類のものです。
例えば、食品製造業の場合は、プラスチック類の包装・包材、発砲スチロール、農業の場合は、ビニールハウスなどのプラスチックフィルム、肥料が入っていたビニール袋などがあり、水産業の場合は、廃漁網、廃ワイヤー類などです。紙くずや鉄くず、新築・改築時の木材やコンクリートの破片、動物の死体や糞尿などが産業廃棄物となります。
◇マニフェストが必要
国からマニフェスト産業廃棄物管理票の交付を義務付けられているのは、一般のオフィスや事業所、工場などで営業している企業だけでなく、個人商店や店舗についても同じです。また法人化していない、農業、水産、酪農などの個人事業主にも「マニフェスト産業廃棄物管理表」の交付が義務づけられているので厳守しなければいけません。
事業所から出るごみは産業廃棄物と事務系一般廃棄物に分けられ、家庭用のごみステーションなどにごみを捨てることはできません。
個人事業主が個人と偽って管理表を交付しないで、廃品回収業者に処理を依頼することは違反行為になります。
廃品回収業者に廃棄物の処理を依頼するには、マニフェストの発行にきちんと対応してくれる業者を選びましょう。
業者によっては、マニフェストの発行を無料で行ってくれたり、個人として粗大ごみ処理を委託するよりも処理費用を値引いてくれたりします。
初めて産業廃棄物の処分をする際には、その業者がマニフェストに対応している業者かどうかを確認したうえ、「個人事業主」と正しく申告して業者に処理を委託することをお勧めします。
◇マニフェスト伝票や書類は一定期間保管しなければいけない
マニフェスト伝票には、用途に合わせ次のような種類があります。どうしたらいいのかわからないときは、マニフェストに対応している業者に聞いてみましょう。
1.直行用マニフェスト:排出事業者から直接処分場へ運搬
2.積み替え用マニフェスト:収集運搬を区切って複数業者が運搬
3.建設廃棄物用マニフェスト
4.電子マニフェスト
マニフェストの記載項目が多いので、まちがいなく記載するためにも、経験豊富な廃品回収業者に確認しながら記入していきましょう。
マニフェストは一定期間保存しなければいけない決まりがあり、排出事業者はA票、B2票、D票、E票を、収集運搬業者はB1票、C2票を、 処分業者はC1票を5年間保存しなければいけません。
マニフェストの保存義務を違反した場合にも、6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金のマニフェスト保存義務違反に問われますので、しっかりと保存しておくようにしましょう。
電子マニフェストを使う場合は、伝票の保管義務・行政への報告が不要ですが、運搬時に紙のマニフェストを使うので両方併用しています。
事務所の不用品の整理と処分まとめ
ここまで、個人事業主・法人企業の粗大ごみの捨て方や手順などルールについて詳しく紹介してきました。
間違っても一般の粗大語彙として自治体へ出さないようにしましょう。
初めて事業用の粗大ごみを出すという人は良く読んで勉強してから対策を練りましょう。