店舗を閉店して片付けるときには、一般家庭とはまったく違う、特殊な不用品が多く出ます。
また、原状回復などの工事が必要になることも多く、「やることが山積みで混乱する」という経営者の方は少なくありません。
店舗の場合、工事業者に支払う金額も高くなり、片付けについての知識の有無で、支払う金額にも差が出てきます。
目次
店舗の閉店でかかる費用の相場
店舗閉店の片付けでかかる費用は、主に不用品を処分する費用・原状回復をする費用の2つがあります。
それぞれの費用のおおよその相場を解説していきます。
◇不用品の処分費用
不用品の種類にもよりますが、格安の廃品回収業者の場合、荷物の量に応じて次のような金額が目安となります。
1R+α程度 4万5000円~、1DK程度 7万5000円~、8立方メートルは8万5000円~、9~10立方メートルは10万5000円~となります。
店舗閉店の片付けでは、処分が難しいものをお引取りすることも多いため、上記の金額よりやや高くなるかもしれません。
◇原状回復費用
事の作業内容によって、原状回復工事にかかる費用は大きく変わります。
ここでは張り替え工事・その他の工事全般の2つに分類し、おおよその費用相場を解説していきます。
張り替え工事
張替え工事では、張り替えるものの種類によって、次のような金額が相場となります。
クロスは1,100円/㎡~、クッションフロアは2,700円/㎡~、タイルカーペットは2,100円/㎡~、塩ビタイルは3,500円/㎡~、Pタイルは2,100円/㎡~、ソフト巾木は550円/㎡~となります。
この金額はあくまで大雑把な目安であり、業者・使う素材・工期などの諸条件によって金額は大分変わります。
◇その他の工事
その他の工事については、内容によって下のような金額がおおよその目安となります。
塗装は1,000円/㎡~、クリーニングは25,000円~、廃棄処分費は9,000円/㎡~
ブラインド清掃費は3,000円~、エアコン分解クリーニング費用は45,000円~、ボード補修費は6,000円/枚~、パーテーション解体撤去費は1,000円/㎡~となります。
これらは一例であり、他にもさまざまな原状回復工事の種類があります。
それに伴って、料金相場も業者ごと・状況ごとに大きく異なります。
実際にお近くのリフォーム業者数社に相見積もりをとって確認していただくのがいいでしょう
飲食店の閉店のケース
店舗の閉店をするときは、店舗の種類はいろいろありますが、多くの人が真っ先に連想するのは「飲食店」ではないでしょうか。
ここでは飲食店の閉店と片付けについて、店舗はどのように返還するのか、厨房機器・調理器具などはどこまで売れるのかの2点を説明していきます。
◇スケルトン工事
スケルトン工事とは内装をすべて解体し、入居時の状態に戻す工事です。
原状回復をしなければいけません。
鉄筋コンクリートの建物の場合「コンクリート打ちっぱなし」の状態にするのが一般的となります。
スケルトン工事は、スケルトン仕上げ、スケルトン戻しという別名で呼ばれることもあります。
これらの意味を知らないと違う工事と思ってしまうかもしれませんが、すべて同じ工事となります。
◇居抜き
居抜きとは設備・備品などをそのままにすることです。一言でいうと「そのまま」です。
辞書の正確な説明は下記の通りです。
テーブルなどの設備はそのままで、什器は処分する、設備も什器類もすべてそのままで、やることが少なくて楽なのはすべてそのままの方です。
ただ、価値のある備品や什器があったら自分で売った方が高く買い取ってもらえます。
店舗のオーナーとしてもがほとんどの場合、借り主が自分で処分してくれる方がいいということなので、大抵は什器などを処分するのが一般的です。
ただし、処分する余裕がない、価値のあるものが多く、オーナーが残すことを希望した場合、オーナーがとにかく早く追い出したがっている場合などは少々ネガティブな理由もありますが、ポジティブな撤退のときは、こうした後始末も立つ鳥、跡を濁さずという状態にしやすいものです。
そのため、居抜きで残していくケースでは、ネガティブなパターンがやや多くなるのです。
◇買取可能な厨房機器・調理道具・メーカー
1厨房機器
業務用機器…冷蔵庫・冷凍庫・冷凍冷蔵庫・炊飯器・食器洗浄機・製氷機
ショーケース 冷凍・冷蔵・オープン・ビール・ケーキ・寿司ネタなど各種
フライヤー ガス・電気
オーブン ベーカリー・ピザ・コンベクション
レンジ 電気・ガス・スープなど各種
テーブル コールドテーブル(冷凍含む)・ガステーブル
コーヒー系 コーヒーマシン・エスプレッソマシン・焙煎機
グリル系 グリラー・餃子グリラー・グリドル
保管系 食器消毒保管庫・包丁まな板殺菌庫・ワインセラー
特定料理用 ゆで麺器・おでん鍋・寿司ロボット
その他 ドゥコンディショナー・リバースシート・ミキサー・モルダー・ホイロ・スチームコンベクション・下処理機器・真空包装機
調理道具
調理道具も新品で購入したときの価格が一定以上の価格のものであれば、買い取ってもらえることが多いです。
お玉・泡立て・レードルなどの一般的な道具に始まり、チューフィングウォーマー・スパテル・ストレーナーなどの、少々専門性が高い道具なども買取の対象です。
さらにジャンルが限定されているケーキスタンド・お好み焼き用品・釜飯用品なども一定以上の価格で買い取ってもらえます。
和食器・洋食器・韓国食器・中華食器などの食器類も、汚れがないものはほとんど買い取り可能です。
その他、ここには書ききれませんが、幕の内弁当・松花堂弁当などの弁当系容器なども価値があります。
価格は品物次第であり、状態や買い取る業者次第となりますが、ある程度のお金は、これらの売却によって得ることができます。
メーカー
厨房機器のメーカーも、業界で一般的に知られている企業であれば、すべて買取対象となります。
一部ですが、次のようなメーカーです。
パナソニック・大穂製作所・サンヨー・福島工業・マルゼン・中西製作所・ホシザキなどがあります。
その他にもフクシマ・鈴茂器工・アイセック・TOSEIなどのメーカーが人気です。
厨房機器のメーカーについてはここでは名前を紹介しきれないほど多く存在しますが、ノーブランド品でない限り、すべて買い取ってもらえると思っていてもよいでしょう。
オフィスや事務所の閉鎖のケース
法人のオフィスや事務所を閉鎖する場合、飲食店や小売店などのサービス業の店舗とは、また違った片付けのノウハウが必要です。
ここでは、どのような視点でオフィスや事務所を片付ける際の業者を選ぶべきかを解説していきます。
◇顧客情報・機密データ等の「メディア処理
フィスや事務所を閉鎖する場合、個人情報や顧客情報、機密データなどを保存しているメディアを、確実に廃棄する必要があります。具体的には次のような情報メディアになります。
CD・MO、フロッピーディスク、テープ、USBフラッシュメモリ、外付けHDD(ハードディスク)
これらは、普通に廃棄するだけでは当然、情報漏えいしかねません。
そのため、破砕工場で粉砕するなどして、確実にデータが漏れないようにする必要があります。
◇契約書・廃棄証明書を必ず発行
このような機密データのメディア処理をする場合、必ず業者に産業廃棄物処理委託契約書・守秘義務契約書発行・マニフェスト伝票の書類を発行してもらう必要があります。
1つ目は簡単にいうと契約書です。
この作業を任せましたので責任をもって完了してくださいという内容のものです。
これはどんな分野の契約でも発行しますが、産業廃棄物の処理を任せるということを意味します。
2つ目の「守秘義務契約書」は、文字通り「顧客情報の入ったメディアを渡すが、絶対に情報を漏洩させないで秘密を守ります」という事です。
これも非常に重要な書類です。
3つ目のマニフェスト伝票は、別名「廃棄証明書」と呼ばれます。
確実に廃棄したことの報告書です。
もちろん、これがあっても「本当に廃棄しているの?」と疑いを持つことはできます。
実際、日産やスバルなどの世界的メーカーでも大々的に偽装をしていたことが発覚したわけですから、どんな有名企業でも100%信用することはできません。
最終的には「自分の見る目を信じる」ということになります。
そのような前提にしても、上記のような書類を「発行する業者としない業者」だったら、あきらかに発行する業者の方が信用できます。
◇OA機器リサイクル
事務所・オフィスには高価な業務用OA機器が多くあります。
これらをうまくリサイクル・リユースできる業者であれば、その分回収費用を安くすることが可能です。
そのため、そうした業者を選ぶことも重要です。
特に高額で業者が買い取りしやすいOA機器には下のようなものがあります
パソコン Windows&Mac本体・ディスプレイ・ノートPC・液晶モニタなど
PC周辺機器 プリンタ・スキャナ・複合機・LANケーブル・Wi-Fiルーターなど
特殊機器 サーバーマシン・通信機器・基盤
小物類 キーボード・マウス・ヘッドホンなど
電話系 固定電話機・FAX機
その他 カメラ類・ビデオデッキ類・コピー機など
基本的にオフィスで使う機械類はほとんど買取可能です。パソコン類に関しては「情報を盗まれるリスク」が不安かと思います。
当然ながら、このような対策をしっかり施している業者に依頼すると安心できます。
◇HDD破壊証明書」を発行
パソコンでデータを記録しているのはハードディスクです。
最近はSSD(内蔵ストレージ)に変わりつつありますが、破壊作業の分野ではわかりやすく「HDD破壊」ということが多いものです。
最近では、確実にHDDを破壊したことを証明する「HDD破壊証明書」などの書類を発行する業者が増えています。
書類の名前は業者によって違いますが、内容や目的はどれも同じです。
こうした証明書では実際に破壊された様子の写真などが付けられているところもあります。
希望する場合は、動画を撮影してもらうことも可能です
◇スチール家具の処分
ほとんどのオフィスや事務所では、事務用机・会議用長机・スチールロッカー・スチール書庫・オフィスチェア・パーテーションのようなスチール家具が多く使用されています。
無料で処分できる業者は、おすすめといえます。
他にも多数のアイテムがありますが、こうしたスチール製のオフィス家具の処分に無料で対応できる業者などは、店舗閉店の片付け費用が安くなる点でオススメです。
買取りできる備品や商品
店舗を閉店するときの片付けでも、個人の自宅を片付けるときと同様、業者に買い取ってもらえる品物はたくさんあります。
特に小売店のように商品を売る仕事の場合、在庫処分でも売れなかった商品を買い取ってもらうということも可能です。
そうした在庫処分も含めて、具体的にどのような商品や備品を買い取ってもらえるのかを説明していきます。
◇電化製品
基本的に価値のある商品なら何でもOKですが、具体的には下のような電化製品が、特に買い取ってもらいやすいものです。例えば、洗濯機・乾燥機、電子レンジ、コーヒーメーカー、液晶テレビ、IHクッキングヒーター、スピーカー、洗濯機(乾燥機)などは、飲食店や美容院など、洗い物が多い店舗ではほぼ必ずあります。
電子レンジも、飲食店でなくても設置していることが多いでしょう。
コーヒーメーカーはデスクワーク中心のオフィスでも、福利厚生のために用意していることが多いかと思いはずです。
スピーカーは、特に飲食店やクラブなどで、高品質の製品を使っていることが多いでしょう。
このように、あらゆる店舗でさまざまな電化製品を使用しているものですが、それらは、高額買取の対象になることが多いと考えてください。
◇事務用品
特にオフィスや事務所で出る事務用品については、ホワイトボード・卓上スタンド・案内板・金庫(耐火金庫)・スチール書庫・パーテーション・受付カウンターが特に買い取りの対象となります。
他にも多くの種類の事務用品・オフィス家具が買取の対象となります。
買取業者によって買い取れる品目も金額も異なるため、まずはお近くの業者に問い合わせていただくといいでしょう。
特に金庫は多くのオフィスや店舗で使っていますが、店舗の金庫の処分で困っている場合には、こちらを参考にしていただけたらと思います。
店舗の閉店に伴う粗大ごみの処分まとめ
今回店舗や事務所の閉鎖や閉店に伴って出てくる不用品の処分方法について詳しく紹介してきました。
事務用品などは需要が多く、買い手がたくさんつくことが分かったのではないでしょうか。
飲食店などは、不要品の処分だけではなく、現状回復をしなければいけない時に、改装工事などをしているときは相当な費用が発生します。
貸店舗の場合は、より多くのお金が必要になるため売れる物はできるだけ高値で売れればそれだけ出ていく悪寒が少なくて済みます。