社会的な問題の中にゴミ屋敷があります。自分だけの問題だと思っていると大間違いです。ゴミ屋敷化は回りの人にも悪臭や見栄えで迷惑をかけているという自覚が必要です。
ただ、本人はゴミ屋敷化しているという認識がないので、なかなか減らないのが現状です。回りの理解も必要で、ゴミ屋敷化する人には精神的な病気の影響もあります。ゴミ屋敷化する人の特徴などを紹介していきます。
目次
ゴミ屋敷になるのは病気のせい?
ゴミ屋敷化は日本でも社会問題の一つになりつつあります。ゴミ屋敷化した住人と回りの住人とのトラブルが頻繁に報道されています。
◇ゴミ屋敷にする人は病気?
ゴミ屋敷になる要因として高齢化社会が影響していることもあります。高齢者の1人暮らしが増えていて、ごみ処理を怠ってしまうケースが非常に多くなっています。同居の家族がいない人や、足腰が不自由で片付けをしたくてもできないという高齢者が増えてきていて、ごみが家の中に散乱することが多々あります。
つい最近ですが、ためこみ症という新しい精神疾患の一種が注目を浴びてきています。ゴミ屋敷化する人の病気として最近分かってきた精神疾患です。みんなが理解してから対応できれば、ゴミ屋敷化されることも減ってくるのではないでしょうか。本人が気づかないうちにかかってしまって、家をゴミ屋敷化してしまっていることがあります。ゴミ屋敷化する人を少しでも理解することが、ゴミ屋敷化を減らしていく早道になるかもしれません。
◇最近分かったためこみ症
2013年にアメリカではじめて診断マニュアルに記載されてからわかった「ためこみ症」という精神病が、ゴミ屋敷化の原因と考えられるようになりました。ためこみ症には大きく3つの症状があります。
1.普段使わないものでも、もったいないとか捨てきらないような習慣を持っている。
2.部屋に物でいっぱいになってしまって本来の部屋として機能していない。
3.ためこむことで当事者が苦痛と感じてしまったり、安全な環境を維持できなくなったりしてしまう。
中には動物好きで、猫や犬などを飼いすぎて自分では飼育できなくなってしまっている場合は、猫屋敷となっています。これもゴミ屋敷と同じ精神疾患が影響している可能性があります。
アメリカでは40代以上の独身女性に多いと言われていて、女性に多く見受けられます。
ゴミ屋敷にする人の病気の治療法は?
ゴミ屋敷にする人たちの精神病である、ためこみ症の効果的な治療法はあるのでしょうか?今のところ、ゴミ屋敷・ためこみ症の特効薬というものはありません。だから、厄介な精神病です。
◇原因不明のため効果的な治療法はない
ゴミ屋敷・ためこみ症の治療法がないというのが現状です。何よりも原因が解明されていないため、治療法が見つからない状態です。
ただ言えるのが、回りの人からするとガラクタがいっぱいになっているように見えますが、本人からすると部屋に置いてあることで品物に囲まれて精神が安定してほっとする状況なのです。ある説として動物でいうと、「巣作り」のようなものだとも考えられています。
または、本人に置いてある品物の細部にまで注意が行く過敏すぎる知覚能力があり、それぞれの品物に愛着がわいてから捨てるに捨てられなくなっているケースもあります。
ただ、ゴミ屋敷化されてしまった部屋を強制的に要らないものは捨ててから整理するという手段は、最悪の結果を招きかねません。
まずやらなければいけないのが丁寧なカウンセリングで、本人が納得するまで気長にカウンセリングをすることが大切です。そうしなければ強制的にごみを撤去したとしても、その後、以前以上のゴミ屋敷になる可能性が高くなります。
さらに行政からすると、ゴミ屋敷でも私物になるので強制撤去ができません。唯一あるのが、2015年に設立された空き家対策特別措置法ぐらいで、ゴミ屋敷をなくす効果的な条例とは言えません。
◇なんでも病気化する社会現象
これまでにもいろいろな症状に対して、病名がつけられてきました。
意志が弱くてお酒をやめられない人の事をアルコール依存症といいます。
学校生活の中で集団生活になじめない子供のことを、発達障害という病名で診断されます。
ほかにもあります。妊活をしてもなかなか赤ん坊を授からない場合は、不妊症と言われて、高齢で耄碌した人の事を認知症というように世間が変わってきています。このようなことを、現代では、異常な出来事や行動をする症状に対して病名を付けて、精神的または肉体的な病気であるように認知されることを医療化といいます。ゴミ屋敷化する人のことをためこみ症というのは最新の医療化のケースとなります。
ゴミ屋敷化を病気と判断することで本人の負担軽減
ゴミ屋敷をためこみ症という病気の一種として世間に認知することで、本人の精神的な負担を軽減させることができます。ただ、ゴミ屋敷に病名を付けることで、治療法もなく健康でもなく病気とも言えずあいまいな状態で放置されてしまうという状況が生まれています。
◇ためこみ症の2つの共通点がある
1つ目は病気と認められていますが治療法がないのですが、本人の精神的な苦痛を和らげることができます。
ためこみ症と診断されることで、周囲の家族や近所の人たちから攻められることなく、ダメ人間というレッテルを張られることもなくなります。この場合は、本人がためこみすぎて物が捨てられずに悩んでいた人の場合です。
本人がまだ使い道があって将来的に必要になると思ってため込んでいる物の場合は、病気だと言われることを心外に思います。
もうひとつは、病気と正常のはざまで境目があいまいになります。
部屋の中がゴミで足の踏み場もないくらいに散らかっている場合は、とても正常とも健康の部屋とは言えません。
それでは、どの段階を病気というのでしょうか?
病気の始まりは、古くて着なくなった服があふれている場合からなのでしょうか?
家を散らかさない代わりにレンタル倉庫を借りてから物を保管している場合は、ごまかしているだけなのでしょうか?
このように、病気なのか正常なのかがあいまいになってしまっているような状況がためこみ症の特徴でもあります。
◇物持ちが良いと消費社会
ためこみ症というのは、物が捨てられないで部屋に溜まってしまってゴミ屋敷になってしまうことです。
かたや捨ててしまうような壊れた家電製品や、セミの抜け殻など価値がないと一般的に思われている物が、インターネットでは販売されているという事実があります。
また、壊れた家電製品は、スラム街の住人からするとお宝であり、欲しくて仕方がない物ではないでしょうか。
この点を考えると、個人の特性を病気と勝手に決めつけてから普通ではないと思われることは、医療化の最大の問題点です。グローバルに物事を考えた場合、ためこみ症はそうではないということになります。
こんな人がゴミ屋敷化しやすい
ためこみ症と似通っていて、病気として言われている精神疾患と正常者の境がつきにくい症状の病名はいくつかあります。
どれをとっても見る側からしたら病気かもしれませんが、本人からすると普通に生活をしていくことであり症状なので、病気とは思っていないし周りから言われたくないことではないでしょうか。
では、ためこみ症と似たような症状を紹介します。
◇完璧主義者
ためこみ症の人と同じようにものが捨てられないで溜まっていく人の中には完璧主義者がいて、ものを大切にしている人たちです。
本人はポジティブ思考で何事にも前向きな人です。
◇注意欠陥・移動障害
すぐにものをなくし、物を捨てられずに生活をしているだけで、ためこみ症ではないのではないでしょうか。
ためこみ症の人たちのように、物を買ったり拾ったりしてためこんでいくのとは全く違います。
もっとポジティブに考えて、物を大切にしている人たちも多いということを頭に入れておくと、ためこみ症の人なのかがわかりやすくなります。
◇買い物依存症
常に何かを購入していないと満足できない人もいます。また、物を捨てられずに溜まっていく人は、決してためこみ症ではないことを把握しておく必要があります。
◇セフレネグレクト
セフレネグレクトの場合は、自分の世話をしなくなったりして、ちょっと変わった性格の人のことを言います。
ゴミ屋敷になるのは病気のせい?原因を徹底究明!まとめ
今回、ゴミ屋敷にしてしまう人のことを、ためこみ症と表現してきましたが、見方を変えると病気ではなく、ものを大切にする人でその度が超えたものがためこみ症といわれるものです。
見方を変えれば、ゴミ屋敷にする人はいたって正常な感覚を持っていて、現代社会の使い捨ての犠牲者とも言えます。
現代社会においてためこみ症というものは、家をゴミ屋敷にする精神疾患者と考えずに、いろいろな方向から見てポジティブに考える必要があります。